そんなことで泣くの?
あなたは、「そんなことで泣くの?」と言われたことはありますか?
わたしはそんなセリフを聞いたこともあるし、言われたこともあります。
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実の所、幼い頃のわたしは泣き虫でした。
特に口論になったり、責められたりということに対しては、言葉が出るより先に涙腺がすぐ開きます。
大体の場合、うまく言葉が出なくなってしまった時に感情が先行して涙が溢れたり、自分の思考のキャパシティを超えた時に、涙という目で見てわかるものが出てくるようです。
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昔からよく言われてきました。
「なんで泣くの?」
「泣けばいいと思ってんの?」
「泣くのはずるい」
「泣いたからって解決しないよ」
「泣かれたらこっちが悪者みたいじゃん」
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頭の回転がくるくると早く、言葉がつらつらと出てくる人からしたら、言葉には言葉で対応するのが当然。
特に8歳上の姉と、6歳上の兄と喧嘩になんてなろうもんなら、頭の回転も語彙力もついて行きません。
涙が出た、という現象や、質問(という名の詰問)に答えられないということ、感情の整理がつかないということは、全く論点にならないわけです。
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いや、もちろんそれも、わかる。
確かに、みんながみんな泣き出してしまったら話はまとまらないし。
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ただ、どうだろうか。
頭がパンクして体が拒否して、涙が出てきてしまうくらい、本当は心の中でいろんな言葉や思考が口から出せないくらい飛び交ってるかもしれないこと。
目の前にいる言葉達者な人に、どうやったら伝わるか、うまく話せるか、考えてるうちにまくしたてられてしまったこと。
相手から出る苛立ちに萎縮しまってるかもしれないこと。
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泣いたってどうにもならないことくらい、本人が一番よく分かってること。
そんなことを考えたことはあるだろうか。
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わたしは、そういうキツイ、ツライと感じる言葉をかけられる時に出てくる涙というものは、透明な血だと思っています。
流れる涙には、必ず意味があると思っています。本人がすぐすぐ言葉にできなくても、何か心にあるものが溢れた言葉の代わりなのだと思います。
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そういう時の涙を「武器」という人もいるかもしれません。
でも、それを武器と認めるなら、言葉だって立派な「武器」です。
わたしは言葉が鋭い人ほど、涙を「武器」と称する気がします。わたしは涙は「盾」だと思います。涙では戦えません。防戦のみです。
盾しか持てていない人に「それで早く戦えよ!」といったところで、無謀です。
だからといって、泣けばいいというわけではありません。
泣いちゃう人は、何かあった時の戦い方、いなし方を会得していかなければならないです。泣いてばかりではいけないというのも分かってるだろうから、誰とでも戦えるように、そこは少しずつ強くなっていかないと、いつまでもしんどいままです。
理論武装上等です。論理的な物事の考え方、感情の鎮め方、鍛えていきましょう。
逆に泣かれちゃうことが多い人は、一回自分の武器がどんな風なものか確認してみてください。多分、自分が思ってる以上に殺傷能力の高いものなのだと思います。
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物事を進めるスピード、考えるスピード、実際に進むスピードが全て同じという人は、なかなか存在しません。
そして、涙する人からしたら「そんなこと」では済まされない何かがあるのかもしれません。
かもしれない、ばかり考えてたら、何もできなくなってしまいますが、それでも「想像する」ことで回避できることや解消できることってたくさんあります。
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涙は透明な血。
だからこそ、「そんなことで泣くの?」という価値観の押し付けは、よくないなぁと思うのです。
「そんなこと」なんて、他人が決めていいことなんか1つもないよ。
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